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リムパック2018概要、陸自が参加、今年は中国海軍をボイコット

最新の動向

 

リムパック2018

今年の目玉は陸上自衛隊の地対艦ミサイル部隊が演習に参加

海自艦艇、航空機部隊は、参加規模の縮小

 

そして、今年はとうとう中国海軍の参加をボイコットとなりました。

リムパック2018の主なトピックスについてまとめてみました。

 

リムパック2018の概要

リムパック2014
リムパック2014

 

主催は米海軍で

多国間共同訓練”リムパック(RIMPAC=Rim of the Pacific Exercise )

開催期間は2018年6月27日から同8月2日まで

場所は日本、グアム島、ハワイ諸島を含む周辺の海空域およびカリフォルニア州周辺海域とされています。

 

リムパック「環太平洋合同軍事演習」は、主に太平洋を囲む国々の軍隊が2年に一度ハワイ周辺で行う共同訓練で、1971年に米、英、カナダ、オーストラリア、ニュージランドの5カ国で開催したのが最初、今年は26回目

海上自衛隊は1980年(昭和55)に初参加、以来毎回参加

陸上自衛隊は2014年に西部普通科連隊が初参加、今回が2回目となります。

 

26カ国から艦艇47隻、潜水艦5隻、航空機200機、人員25,000人以上が参加

参加国:日米の他

イギリスフランス、ドイツ、インド、オランダ、カナダ

豪、ニュージーランド、韓国

インドネシア、マレーシア、メキシコ、ペルー、フィリピン、シンガポール、タイ、トンガ、ブルネイ、チリ、コロンビア

今回初参加:ブラジル、イスラエル、スリランカ、ベトナム

海上自衛隊からの参加部隊

かっては1個護衛隊群+1個飛行隊規模の参加をしていた海上自衛隊ですが

昨今の任務の増加からでしょうか、今回は取り敢えず義理を果たしたかというような参加規模です。

 

参加兵力は

第2護衛隊群のヘリ搭載護衛艦「いせ」搭載ヘリ3機、人員390名

第5航空隊のP-3C×2機、人員60名

掃海隊、人員10名

となっています

いせ
海自HPから

 

参加兵力的にはずいぶん寂しい陣容となっていますが、ソマリアの海賊対処にに常時艦艇2隻、P-3C×2機を参加させている他

今年は米印との共同訓練マラバールがグアム沖で実施

南沙、インド洋方面へのヘリ搭載護衛艦「かが」の派遣

その他にも小規模ながら米海軍、フィリピン海軍やインド海軍との共同訓練

 

など、西太平洋からインド洋にかけて大忙しですから、リムパックにも何とか最低限の兵力を出したということだと思います。

リムパックでは世界各国の海軍が集まり、各種の情報交換や友好関係の醸成、また、最新戦術などの情報収入にも必須のものですから、海自としても積極的に参加したいところですが

艦艇が1隻、P-3C×2機(航空機のトラブル:予備機を考えればギリギリの機数)は最低限の派遣ということになります。


陸自部隊の参加

12式地対艦ミサイル

・熊本県健軍駐屯地の西部方面総監部・西方特科隊第5地対艦ミサイル連隊「12式地対艦ミサイル・システム一式」、人員100名

第5地対艦ミサイル部隊は米陸軍第17砲兵旅団(人員100名)、「M142 HIMARS (High Mobility Artillery Rocket Systems / 高機動ロケット発射機)」を装備、と共同でカウアイ島太平洋ミサイル射撃場およびオアフ島スコーフィールド基地で対艦戦闘訓練を行う予定。

 

・佐世保市相浦駐屯地の水陸機動団第2水陸機動連隊、人員70名

米太平洋海兵隊第3海兵連隊(人員600名)とオアフ島カネオヘベイ基地、ハワイ島ポハクロア訓練場などで水陸両用訓練を行う。

 

・ 陸上総隊、国際活動教育隊、人員5名
米陸軍第351民事コマンド(人員80名)と人道支援、災害救援訓練を行う。

 

海自の減勢された参加兵力に比べて、陸自の方は、かなりの兵力を参加させるようです。

リムパックって海軍の演習だったんじゃないのとか思うのは私だけでしょうか(^_^)v

 

ちなみに陸上自衛隊・第5地対艦ミサイル連隊と米陸軍第17砲兵旅団が連携して、初の地対艦ミサイル共同発射訓練を実施する点について

これは近年の中国海軍による海洋進出を念頭に、米国でも島嶼および沿岸防衛が重要との認識が高まっていることや中国による南支那海での軍事拠点作りに対処する狙いもあるといわれています。

 

意外ですが米軍では陸上部隊による対艦攻撃能力が不足というか、これまではそのような状況は想定外だったということなのでしょうが

新しい戦術?として地対艦ミサイル部隊を運用している陸自との共同訓練を行うことになったもののようです。

 

また、地対艦ミサイルによる攻撃訓練は、ミサイル部隊だけが単独で行うものではなく海軍艦艇や哨戒機が遠距離で捕捉した標的データを、

戦術データリンクシステムを使って、地対艦ミサイル部隊に伝え、そのデータでミサイルを発射、攻撃する訓練も含まれています。

 

注:前米太平洋軍司令官ハリ-・ハリス( Harry B. Harris Jr.) 提督は2017.5に、「(12式地対艦ミサイルを念頭に)米軍の陸上部隊は対艦攻撃能力を持つ必要がある」と強調し、これが今回のリムパック2018に陸自第5地対艦ミサイル連隊が参加するきっかけとなったとされる。

 

今年は中国海軍をボイコット

リムパック2016に参加した中国艦船
リムパック2016

 

リムパックって、ハッキリ言ってソ連海軍が崩壊状態にある今、ほとんど中国海軍が仮想敵国みたいなもので、オバマ政権で中国をリムパックに招待したのは、ジョークみたいなものでしたが

まあ、敵をそのまま、演習の中に組み入れるなんて、ある意味世界平和のためには良かったのかもしれません。

 

しかし中国海軍は2014年の初参加以来、結構トラブルを起こしています。

2014年の初参加の時には、演習海域に、演習には参加していない「東調」(ドンディアオ)級情報収集艦を別途派遣して、情報収集を行い他の参加国をあきれさせています。

「東調」(ドンディアオ)級情報収集艦
「東調」(ドンディアオ)級情報収集艦

 

2016年にはリムパックの重要な位置づけにある各国海軍の友好親善を無視して、中国海軍の行う艦上レセプションに海上自衛隊を招待せず、米海軍を激怒させています。(最終的には米海軍の厳重注意で招待を実施)

このような中国海軍の、常軌を逸した無礼な態度に、米海軍や米連邦議会からも中国海軍のRIMPAC招待は打ち切るべきであるとの声がでていました。

 

さはさりながら、トランプ政権になっても中国海軍のリムパック招待は取り消されることはありませんでしたが、南シナ海での人工島の建設や東シナ海での中国海軍の傍若無人な行動は収まるどころか、ますます周辺諸国を圧迫し続け

対中強硬派で側近を固めたトランプ大統領は、ようやく中国との対決姿勢を明確に打ち出すに至り、中国海軍による南シナ海での侵略的行動を理由として、中国海軍に対するRIMPAC2018への招待をキャンセルするに至りました。

 

逆に注目する点としては、南支那海で中国と対立するベトナムとフィリピンが艦艇を派遣、演習に参加しています。

 

各種の報道、社説などによれば、陸上自衛隊の高性能の地対艦ミサイルの能力を中国海軍に見せつけて

「あんたら東シナ海から西太平洋へは自由に抜け出られませんよ」

ということを警告できなくなったのは残念という論調も数多く寄せられていますが

やはり、「仮想敵国」の中国海軍に参加してもらわずとも良しというところでしょう。

 

対抗演習形式にして、本気で中国海軍を仮想的として演習やったら面白いとは思いますがね(^_^)v

因みに「東調」(ドンディアオ)級情報収集艦は今年も律儀に演習に参加しています(もちろん招待状はありません)

 

 

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