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海自、無人攻撃機のアベンジャーを導入か、無人機の性能や効果は

最新の動向

 

政府が海上自衛隊に無人攻撃機のアベンジャーを導入する検討に入ったと読売新聞が報じました。

(2018.11.9付夕刊)

他にソースが出てこないので、単なる読売新聞の飛ばし記事なのか、それとも何か根拠がるのでしょうか?

そもそも無人機のアベンジャーとはどんな無人飛行機なのか、その性能や導入した場合の防衛戦略への効果はどうなるのでしょう

 

アベンジャー(wikiより)
アベンジャー

海自が無人攻撃機アベンジャーを導入への読売新聞の報道の概要

・政府は海自に米国製の無人攻撃機アベンジャーを導入する検討を始めた

・目的は日本周辺で行動する中国海軍艦艇や北朝鮮のせどりなどの監視体制のの強化

・2018年末にまとめる「防衛計画の大綱」に無人機の活用を位置づける

・アベンジャーの運用開始は2020年代後半を目指す。


無人攻撃機アベンジャーとは

ジェネラル・アトミックス アヴェンジャー(General Atomics Avenger: 復讐者)は、米国、ジェネラル・アトミックス・エアロノーティカル・システムズ(General Atomics Aeronautical Systems)社によって開発中の無人戦闘攻撃機で、通称プレデターC(Predator C)とも呼ばれています。

 

もともとは3種類開発されていたRQ-1プレデターB試作機のうちの1つで

ステルス性が重視され、ウエポンを機外に搭載するのではなく機体の中に入れるウエポンベイ方式がとられているほか

垂直尾翼をVテイルにし、エンジンをS形エキゾーストにするなど、レーダー反射断面積 (RCS) を低減させる工夫も凝らされています。

 

因みに艦載機としての可能性も考慮され、折り畳み可能な翼となっています。

レーダーにはMQ-9と同じく、AN/APY-8 リンクスII合成開口レーダーの他、AESAレーダーを使った広域監視センサーも搭載しています。

現時点で(2018.11)米軍での使用実績も採用予定もありません。

 

アベンジャー搭載可能兵器

搭載可能兵器に搭載可能な兵器としては

・AGM-114 ヘルファイア(主として対戦車ミサイル、対艦用としても使用出来る)
・GBU-24 ペイブウェイ(空対地スマート爆弾)
・GBU-31 JDAM(精密誘導爆弾)
・GBU-39(精密誘導爆弾)

 

アベンジャー
無人攻撃機アベンジャー

アベンジャーの仕様

・エンジン: プラット・アンド・ホイットニー カナダPW545Bターボファンエンジン 4,800 lbs(21、3 kN)

・長さ: 12.50 m (41 ft)
・翼幅: 20.12 m (66 ft、傾斜17度)
・最高高度: 18,288 m (60,000 ft)
・滞空時間: 20時間(燃料タンク搭載で22時間)
・ペイロード: 3,000 lb (1,400 kg)
・最高速度: 740 km/h (400 knots)
・レーダー: AN/APY-8 Lynx II
・センサー: AESA Wide-area surveillance sensor

初飛行:2009.4.4

 

そもそもアベンジャーはグローバルホークやプレデターとはどう違うのでしょう

無人攻撃機アベンジャーはMQ-9 リーパーと共にRQ-1プレデターの派生機です。

これらの無人機とどう違うのでしょう

RQ-1/MQ-1プレデター

RQ-1/MQ-1プレデターの概要

MQ-1(wikiより)

米空軍では中高度長時間滞空(MALE)無人機システムに分類されており、2005年にMQ-1に改称

主な使用目的としては偵察やヘルファイヤーによる対地攻撃(武装型のMQ-1のみ)

米空軍では195機装備

米軍以外ではイタリア、イギリス、トルコが保有

現在は順次退役中で、今後はMQ-9リ-パーに置き換えられる予定

RQ-1/MQ-1プレデターの仕様

機体仕様

・操縦員(遠隔操作):2名(パイロット1名、センサー員1名)
・エンジン:ロータックス914F 4気筒エンジン×1、115hp(86kW)
・全長:27ft(8.22m)
・翼幅:48.7ft(14.8m)
・翼面積:123.3sqft(11.5m²)
・空虚重量:1,130lb(512kg)
・最大離陸重量:2,250lb(1,020kg)

機体性能

・最高速度:135mph(117knots, 217km/h)
・巡航速度:81–103mph(70–90knots, 130–165km/h)
・失速速度:62mph(54knots, 100km/h)
・航続距離:3,704km(2,000nm)
・実用上昇限度:25,000ft(7,620m)

武装

AGM-114ヘルファイア×2(MQ-1B)
AIM-92 スティンガー×2(MQ-1B)

MQ-9リーパー

MQ-9リーバ-(wikiより)
無人攻撃機MQ-9リーバ-

MQ-9リーパーの概要

原型になったMQ-1プレデターよりも機体が大型化され性能が大幅に向上したタイプです。

長い航続距離と高い監視能力に加えて攻撃能力も保有

採用国には米国(米空軍、CBP:アメリカ合衆国税関・国境警備局)以外にイギリス、イタリア、フランス、オランダ、スペインがあります。

また、オーストラリア、ドイツ、トルコも配備する予定

価格は1332万ドル(1ドル112円として約15億円)

2007年にイラクとアフガニスタンへの実戦配備が開始されており

アフガニスタンではヘルファイアーによる実際の攻撃が行われています。

運用する際、例えば米国内の運用基地から衛星経由で遠隔操作が可能ですから

自宅から通勤してきた隊員が遠隔操縦で中東でMQ-9による空爆を行うということも可能です。

MQ-9リーパーの仕様

機体仕様

・操縦員(遠隔操作): 2名(パイロット1名、センサー員1名)
・エンジン: ハネウェル TPE331-10Tターボプロップエンジン、出力950 SHP(712 kW)
・最大燃料搭載量: 1,815 kg (4,000 lb)
・全長:36 ft(11 m):MQ-1より約2.8m長い
・翼幅:66 ft(20 m):MQ-1より約5.2m長い
・空虚重量:4,900 lb(2,223 kg):MQ-1より1711kg重い
・最大離陸重量:10,500 lb ( 4,760 kg)

機体性能

・最高高度: 15,200m (50,000 ft)
・運用高度: 7,600m (25,000 ft)
・滞空時間: 14〜28時間
・航続距離: 5,926 km (3,200 nmi, 3,682 mi)
・ペイロード: 3,750 lb (1,700 kg)
・最高速度: 482 km/h (300 mph, 260 knots)
・巡航速度: 276-313 km/h (172-195 mph, 150-170 knots)
・レーダー: AN/APY-8 Lynx II
・センサー: MTS-B

武 装

両翼に各3個ずつ、合計6個のハードポイントが有り

・増槽
・ヘルファイア(対戦車ミサイル)
・ペイブウェイIIレーザー誘導爆弾
・スティンガー空対空ミサイル

が搭載可能

今後、JDAMやサイドワインダーの搭載も予定

 

RQ-4 グローバルホーク

RQ-4 グローバルホークの概要

RQ-4グローバルホーク
無人偵察機RQ-4グローバルホーク

ライアン・エアロノーティカル社によって開発され、現在は同社を買収したノースロップ・グラマン社の製品になっている。

武装はないため、純粋な偵察機として使用される

 

現在運用しているのは米空軍、海軍、NASA

米海軍は、海上哨戒用として採用(運用試験中)でMQ-4C トライトンと呼んでいる。

今後、新型哨戒機P-8と連携させて運用する事になっている。

その他、NATO、ドイツ、日本(空自)が採用予定

韓国も購入する可能性があり

 

RQ-4 グローバルホークの仕様

全長:13.52m
全幅:35.42m
全高:4.64m
空虚重量:6,710kg
最大離陸重量:12,111kg
ペイロード:907.2kg
エンジン:ロールスロイス製AE3007Hターボファン×1
エンジン推力:37kN
巡航速度:343kt
実用上昇限度:19,800m
フェリー航続距離: 22,779 km

海自にアベンジャーを導入した場合の防衛戦略への効果

アベンジャーは広範囲の洋上監視、哨戒に使用出来る

最初に海自に無人攻撃機を導入という話を聞いたときに、そんなもの必要なのかなという気がしたのですが

そもそも、アベンジャーは20時間の連続飛行が出来る無人機です。

主な任務は対艦攻撃とかに使うのでは無く、おそらく洋上の監視哨戒が主任務になるはずです。

 

現在海自では毎日日本周辺海域をP-3CやP-1を使用して監視を行っていますが

これを無人機に置き換えればP-3CやP-1部隊の負担はかなり軽減されるでしょう。

わざわざ航空機に十数名乗り組んで監視任務を行わなくても地上基地のコントロールで監視、哨戒が行える訳ですから

搭乗員や、航空機の様々な面での消耗を押さえることが出来ます

 

海自P-1
海自P-1哨戒機

危険な任務に有人機を使用する必要が無くなる

昔、北朝鮮の工作船に短SAMが搭載されていたというような話もありましたし

そもそも、海戦になれば、これまでならP-3CやP-1がミサイルを抱えて、超低空で接近して射程ギリギリで発射なんて訓練を行っています。

 

もちろん無人機といえども敵に発見されないよう超低空を飛行して、敵艦艇に接近するのでしょうが

仮に撃墜されたとしても、被害は無人機だけで、人的被害はありませんから

かなり無謀な(^_^;)攻撃もやろうと思えば出来るようになります。

 

因みにアベンジャーのペイロード(搭載可能な重量)は1,400kgですから、自衛隊が保有している対艦ミサイルASM-1(600kg)であれば2発搭載することが可能になります。

 

アベンジャーはいずも型ヘリ空母に搭載出来るのか

SNSなどで冗談半分にいずも型に搭載出来るのかなどというコメントがありました。

 

冗談だということは分かっていたのですが

そう言えば防衛省が検討していたいずも型の空母への改修に関する研究で

対象となった航空機はF-35Bの他にも無人ヘリコプター「MQ-8Cファイアスカウト」と固定翼無人機「RQ-21Aブラックジャック」が入ってましのたので

もしや、とも思いましたがアベンジャーの両翼端の幅は20mもありますから、いずも型の甲板に着陸するのはやはり無理なようです。

 

いずも
海自ヘリ空母いずも

参 考

いずも型甲板長さ245m×幅38(+艦橋あり)

RQ-21無人機は全長2.2m翼幅4.8m巡航速度55ノット

アベンジャーの全長12.5m翼幅20.1m

海自ヘリ搭載型護衛艦、空母に改修か?F-35Bは海空のどちらが保有?

 

なぜMQ-9リーパーでなくてアベンジャーなのか

大きさ的にはMQ-9の方が微妙に小さく、かつ搭載出来るウエポンのペイロードも若干大きいので、実戦で使われているMQ-9の方が良いような気もしますし

アベンジャーは試作機だけで、実際には運用されていないのでなぜアベンジャーなのか

ちょっと疑問な点もありますが

 

MQ-9のレーダーが AN/APY-8 Lynx II、センサーが MTS-Bなのに対して

アベンジャーのレーダーが AN/APY-8 Lynx II(MQ-9と同じ)、センサーがAESA Wide-area surveillance sensor

 

ということでより海上の監視哨戒に適している?

ウエポンベイを採用しており、機体形状もよりステルス性が高いこと

またMQ-9リーパ-は陸上戦で使われている事や、敵地攻撃能力などの面から政治的にまずいというのもあるかもしれません

 

ということから考えれば海上自衛隊が無人航空機(偵察&対艦攻撃機)としてアベンジャーを選択するのもおかしくは無いと思います。

 

また米海軍がP-8哨戒機と合わせて運用しようとしているMQ-4トライトンに関しては、純粋な偵察機仕様ですし

低高度に降りられないP-8の能力を補完する機能を保有しているとすれば、自分だけで任務を完結できる海自P-1の能力とバッティングする無駄な部分?があるかもしれません

それに空自が保有予定ですから海自としては同じものを保有したくない?(単なる私個人的な憶測です)

 

まとめ

最初、海自に無人攻撃機を導入というニュースを見たときに

ほんとかいなという違和感を感じたのですが

詳細に分析してみると、今後の隊員不足や、兵器の無人化の潮流を考えるとあながちあり得ない話では無く

結構妥当な計画である気がします。

現時点ではこのニュースの信憑性は不明ですが、今後の動向については注目していきたいと思います。

2022.1現在、追加の情報はありません。

 

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