中国海軍空母「遼寧」が護衛の艦隊と共に外洋に進出し、艦載機を発着艦させる様子が初めて観測されました。
練習用空母だとか、艦載機が武器や燃料を満載して離陸できない、ポンコツ空母などと言われていますが
海自で言えば1個護衛隊群に匹敵する艦隊を引き連れて、外洋を行動し、演習を行ったとことで、それなりの練度、レベルに達したともいえます。
中国海軍の空母遼寧が初めて外洋で本格的演習
2018年4月20日(金)、第13護衛隊所属「さわぎり」と第5護衛隊所属「あきづき」、第5航空群所属のP-3Cが中国海軍艦艇7隻の日本近海での動向を確認
行動が確認された中国海軍の艦艇
空母「遼寧」
艦番号「16」
ルーヤンⅢ級ミサイル駆逐艦1隻、ルーヤンⅡ級ミサイル駆逐艦3隻、
艦番号「154」「150」「151」「152」
ジャンカイⅡ級フリゲート2隻
艦番号「538」「547」
合計7隻です。
遼寧以下の艦隊7隻は与那国島の南、およそ350キロメートルの海域を東進
同日11時頃、同海域でクズネツォフ級空母「遼寧」から複数の艦載戦闘機と思われる機体が飛行する様子を確認(確認されたのは今回が初)
その後艦隊は4月21日(土)に宮古島の東、およそ120キロメートルの海域を太平洋から東シナ海に向けて北西進し、沖縄本島と宮古島の間の海域を通過し、東シナ海に向けて北西進しました。
遼寧の推定航行コース
今回の演習に参加した中国艦艇
空母遼寧
元々はソ連の空母アドミラル・クズネツォフ級航空母艦「ヴァリャーグ」を、船上カジノとして使うと偽って未完成の船体を輸入し、その後空母として完成させたものです。
2012.9.25就役
中国では001型航空母艦「遼寧」と命名されている。
満載排水量 67,500t
全長 305m
最大幅 78m
推進軸 スクリュープロペラ4軸
最大速力29kt(一説では19kt)
乗員 1960名
搭載機(推定)
J-15、J-24(艦上戦闘機) 合計 24~36
AEW&C(早期警戒機) 4機
Ka-28PL(艦載対潜ヘリコプター) 6-8機
Ka-28PS(救難ヘリ) 2機
その他:Z-8、Z-9など
北海艦隊(青島)所属
ルーヤンⅢ級ミサイル駆逐艦
中国名:昆明級駆逐艦(052D型駆逐艦)
NATOコードネーム:旅洋-ⅢI型(英: Luyang-Ⅲclass)
満載排水量 7,500t
最大速力30kt
搭載機 Zhi8A型ヘリコプター2機
旅洋III型は、長射程の艦対空ミサイル(SAM)を装備した艦隊防空艦で、索敵とミサイルの射撃管制機能を持つ最新のLJA346A型アクティブ・フェイズドアレーレーダーを備え、旅洋II型とともに「中華イージス」と呼ばれている。
アクティブ・フェイズドアレーレーダーのほか、後部に長距離索敵レーダーを備え、目標の探知距離は450キロ以上、複数目標に同時対応が可能だと推測されている。
前甲板と後部のヘリコプター格納庫前に合計64セルのミサイル垂直発射装置(VLS)があり、HHQ9SAMを格納している。
今回参加した艦艇
「154」 艦名:廈門(Xiamen) 2017.6就役
東海艦隊(浙江省寧波)所属
ルーヤンⅡ級ミサイル駆逐艦
中国名:蘭州級駆逐艦(052C型駆逐艦)
NATOコードネーム:旅洋-II型(英: Luyang-II class)
国産のHHQ-9艦隊防空ミサイル・システムを搭載、にアクティブ・フェーズド・アレイ(AESA)アンテナを艦橋構造物の4周に貼り付けた外見から、「中華イージス」(中華神盾)とも言われる。
満載排水量 約7,000t
全長 154m
全幅 17m
最大速力 29kt
乗員280名
艦載機:Ka-28 / Z-9対潜ヘリコプター
今回参加した艦艇
何れも東海艦隊所属
「150」艦名:長春(Changchun) 2013.1.31就役
「151」艦名:鄭州(Zhengzhou) 2013.12.26就役
「152」艦名:済南(Jinan) 2014.12.22就役
ジャンカイⅡ級フリゲート
中国名:054型ミサイル・フリゲート
NATOコードネーム:江凱II型(054A型)Jiangkai-class frigate
ステルス性を考慮した新設計の艦体に、フランスなど西側諸国やロシアのテクノロジーを導入した兵装を搭載している。対空・対潜・対水上にバランスが取れているといわれる。
今回参加した艦艇
「538」 煙台(Yantai) 2011.7.30就役
北海艦隊所属
「547」臨沂(Linyi) 2012.12.22就役
北海艦隊所属
今回の演習の概要と意味
・空母打撃群による本格的運用に向けた演習
・艦載機の殲(J)15による発着艦訓練を太平洋上で初めて実施
・中国国防省の発表によると、編隊のうち駆逐艦2隻が「青軍(仮想敵)」を演じ、艦隊と艦載機の連携を確認したという。
注:自衛隊の演習では確か、自軍は青、敵は赤で表示すると聞いていますから、中国軍も、自軍が赤軍、敵が青軍になるんですかね(*^_^*)
・自衛隊では与那国島(沖縄県)の南方で20日午前、遼寧から複数の艦載戦闘機とみられる航空機が飛行するのを太平洋上で初めて確認
・今回、遼寧が西太平洋に進出し、台湾の東側を航行するのは2回目、2016年12月に南下ルートで通った際には台湾を高速で通り過ぎただけだったが、
今回は台湾近海で艦載機(戦闘機)の発着艦を行った。
これを裏読みすれば、前回2016年の時点で遼寧には台湾軍の航空機に対応出来る能力が全く無いか、あるいはかなり低いレベルで
万一、台湾空軍のスクランブルなどを受けた場合に大恥をさらす可能性があったということかもしれません。
今回、遼寧が台湾の南東部を行動し、戦闘機の離発着を行ったと言うことは、台湾軍の航空機にある程度の対応が出来る能力を持つに至ったということも予想できます。
これまでの台湾の防衛体制は、西側の中国大陸方面に重点をおき、山脈の裏側に当たる東部は、後方支援機能や緒戦での損害を避けるための「戦力保存基地」という位置づけで、
南東部は防空体制も薄かったのが、遼寧が東側に進出することで、台湾軍は防衛資源を南東側にも配置する必要が出てきたということになります。
まとめ
中国海軍の空母「遼寧」は今回初めて西太平洋上(台湾南東部)において、戦闘機の離発着訓練を実施
米国に対するプレゼンスと共に、台湾に体しての南東部からの攻撃を示唆することで、台湾軍への軍事的圧力の増加にもなります。
また、今回の訓練で、遼寧が艦載機を使った、ある程度実戦的能力を保有したことも意味することになります。
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