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中国初の国産空母「山東」就役で保有空母2隻に、搭載機はあるのか

中国海軍

 

中国初の国産空母「山東」が2019年12月17日、海南省三亜で就役しました。中国にとってソ連から取得し改修した「遼寧」に続く2隻目の空母となります。

山東はどのような空母なのか、常々問題になっていた搭載機はどうなるのかについて検討してみました。

 

 

中国空母山東

習主席らが参加し「山東」就役式典を実施

就役式典には中央軍事委員会主席を兼ねる習主席を始めとして、5千人が参加し、「山東」の命名証書が艦長と政治委員に手渡されました。

(山東:建造段階では001A型と呼称されていた中国空母の2番艦)

中国海軍空母2番艦(国産空母1隻目:001A型)の最新情報分析

 

艦番号は17

「山東」の所属艦隊は発表されていませんが、南シナ海を管轄する南海艦隊に所属するとみられています。

「山東」はソ連から入手した遼寧を基に設計され、排水量約5万トン。通常動力

2013年に着工し17年に進水。その後、試験航行を行っていました。

 

「山東」は「遼寧」より甲板面積を広げたほか、搭載可能な艦載機数も24機から36機に増やすなど改良が施されています。

艦載機の発艦はカタパルト方式ではなく、自力滑走のスキージャンプ方式

起工:2013.11

進水:2017.4.26

就役:2019.12.17

基準排水量 55,000t(推定)

満載排水量 70,000t(推定)

全長 308.5m

最大幅 38m(飛行甲板最大幅75.5m)

速力 30kt

搭載機(推定)J-15×32~36機

Z-9×2

 

山東の艦載機はあるのか

ニュースソースでは確認出来ませんでしたが山東の艦載機はあるのでしょうか

「遼寧」では艦載機として「殲15(J-15)」をあてていますが、故障が多く事故も発生しており、海軍首脳は「艦載機としては不適格」との判断をしていると言われています。

「殲15(J-15)」の後継機としては「殲20(J-20)」や「殲31(J-31)」が候補に上がっていますが

今のところ満足な性能を発揮しておらず、このため山東の就役が2020年代後半にずれ込むのではないかとの観測もありました。

J-15

山東に搭載するJ-15戦闘機

 

山東は遼寧と同じスキージャンプ方式を採用しており、J-15を搭載すると見られていたものの、J-15のエンジンや制御システムに問題があり、これまでに死亡事故1件を含む4件の墜落事故を起こしています。

空母着陸体制時に飛行システムのエラーが生じて墜落したという報道もあり、ステルスタイプのJ-31を艦載機に採用する計画も伝えられたものの

J-31はまだ開発段階で、飛行試験を続けており、最終的な完成までにはまだ時間がかかるとみられており、更に艦載タイプを開発する必要もあります。

 

中国が開発中のJ-31
J-31

 

中国軍のJ-20戦闘機
J-20

 

J-20を搭載することも検討されているようですが、J-20が搭載する国産エンジン「WS-15」は技術的にも性能的にも1世代古く、艦載機として使用する場合、耐久性の問題で実用化に難があるほか、エンジンに塩害対策も講じなければならず、J-20についても、現時点で搭載出来る状態ではないと考えられ

残るのは、欠陥機とも考えられるJ-15を搭載せざるを得ないのでは無いかと考えられます。

 

おまけに、カタパルトの開発も遅延しているとみられ、スキージャンプ方式ですから燃料や武装も制限せざるを得ず、遠くに行けない、武器を満載できないなどの制約があり

となれば、見た目としては「ああ、堂々の大型空母」なのですが、肝心の搭載機もまともに無いということから、現状では張りぼての空母と言って良いのかもしれません。

 

J-15(殲-15)

中国人民解放軍海軍の策定した空母建造計画のために、瀋陽飛機工業集団および601研究所により開発された艦上戦闘機

NATOコードネームは「フランカー X2」

中国軍のJ-15
J-15

ロシア製のSu-33(の試作機をウクライナから入手)をベースに(中国で「ベース」ちゅうことは、パクってコピーしてちょこっと改良したって事なのでしょう)開発されました。

中国は当初ロシアからSu-33の購入を希望していたのですが、2006年にSu-27をベースに中国が開発した戦闘機J-11が、例によってコピペパクリをやっていたことからロシアが激怒して、絶対売らねーよとなり、自国開発せざるを得なくなって開発されたもの。

 

注:Su-33:ロシアのスホーイ社が製造する戦闘機で、Su-27の艦上戦闘機版。非公式な愛称として「シーフランカー」NATOコードネームはフランカーD(Flanker-D)

 

といっても、結局ロシア機を「ベース」に開発した艦上戦闘機がJ-15ってわけで、不具合が多発して、事故も多発して、中国の専門家も勇ましいことは主張しているものの

「J-15の弱点は、ロシア製のAL-31エンジンが、アメリカ製のF-35(のF135ターボファンエンジン)よりも出力に劣る」

「対地・対艦攻撃能力は、F/A-18E/Fに劣っている」

などと自ら認めています。

 

因みに、ロシアの専門家はどうにもこのJ-15が気に入らないようで、かなり裏でも表でもぼろくそに言っているようです。

 

まとめ

中国海軍の空母2番艦、山東が就役

遼寧は練習艦という位置づけですから、ようやく国産の実戦タイプの空母が就役と言いたいところですが

いまだ、まともな艦載機が無く、カタパルトも搭載されていないことから、空母を持たない国などに対する威圧くらいには使えるのでしょうが、実戦で使うとすればまだまだ力不足としか言いようがないでしょう

とはいえ、今後、艦載機の開発も鋭意進められることでしょうし、運用能力も徐々に向上していきますから、張り子の虎と馬鹿にしているだけでは、いつかはしてやられることになりますから、日本も、今後の中国の空母戦力の状況には充分注目していく必要があります。

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