2020年に就役した、海自のまや型イージス艦にはベースライン9C、IAMDが搭載されるとのことですが
ベースライン9CやIAMDとはどういうシステムなのでしょう。
イージスシステムのベースライン9Cとは
イージスシステムは継続的にバージョンアップが図られていてベースライン=バージョンと考えるとわかりやすいと思います。
つまり、ベースライン9はVer9
そしてVer9の中にもいくつかの種類があるというわけです。
ちなみに
9A:ベースライン3搭載艦の近代化(改修)用です。BMD(弾道ミサイル防衛)機能はありません。
9B:ベースライン4搭載艦の近代化(改修)用に計画されたがキャンセルされたバージョン
9C:ベースライン4搭載艦の近代化(改修)用で、IAMD(integrated air and missile defense:統合防空ミサイル防衛)機能を有する予定(まや型に搭載される)
9D:アーレイ・バーク級フライトIIAの建造再開艦(DDG-113以降)への搭載用。IAMD機能を有する予定
9E:陸上版イージス(AEGIS ashore)への搭載用。BMD機能を有する予定
ということで、9Cは艦艇搭載のイージスシステムで最新バージョンということになります。
IAMD(integrated air and missile defense:統合防空ミサイル防衛)機能とは
統合防空ミサイル防衛は米国のみならずロシアなどでも対応している物と考えられますが、日本が関わるIAMDは米国の構想するIAMDとなります。
基本的には平成 29 年 4 月に改訂された米軍統合文書 JP3-01『対航空・ミサイル脅威』
(Countering Air and Missile Threats)を元としており、
IAMD を「敵の航空・ミサイル能力から悪影響を及ぼし得る力を無効にすることにより、米本土と米国の国益を防衛し、統合部隊を防護し、行動の自由を可能にするために行う諸能力と重層的な作戦の統合」と定義しています。
もう少し具体的にどういう内容かを並べると
1 敵の航空・ミサイル攻撃を未然に防止するための策源地(敵地)に対する攻撃作戦
2 攻撃が開始された後の敵の航空機やミサイルを破壊する防空作戦やミサイル防衛など
3 攻撃を受けた場合に友軍の作戦への影響を最小にする偽装や抗堪化など被害局限
これらに用いられる兵器や手段としては
・撃戦闘機や迎撃ミサイルなどの直接的な攻撃、防衛手段
(航空機、無人機システム、誘導(巡航)ミサイル、超音速滑空弾、長距離誘導ロケット、弾道ミサイル、RAM(Rocket, Artillery, Mortar:短射程ロケット、野戦砲弾、迫撃砲弾))
・サイバー戦、指向性エネルギー兵器、電子戦などの非運動エネルギー(non-kinetic)兵器
が考えられます。
またこれらの兵器や手段を統合的に指揮統制する機能として
米国では
「指揮・統制・戦闘管理及び通信(Command, Control, Battle Management and Communication: C2BMC)」システムを運用しており
陸軍-IBCS(IAMD 戦闘指揮システム:IAMD Battle Command System: IBCS)
海軍- NIFC-CA(海軍統合火力統制-対航空:Naval Integrated Fire Control- Counter Air)
空軍-コンバット・クラウド(Combat Cloud)
海兵隊-CAC2S(共通航空指揮統制システム:Common Aviation Command and Control System: )
をそれぞれ開発しています。
日本の防衛省でもイージスアショア、SM-6 ミサイル、NIFC-CA 等の導入などによるIAMDを研究しているようですが、
日本のイージス艦まやの搭載されるIAMDの機能が米海軍のNIFC-CAにつながっていることを意味するのか詳細は不明です。
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