海自P-3Cが2017年9月6日(水)~9月9日(土)までオーストラリアが開催するPSI海上阻止訓練「パシフィックプロテクター17」に参加します。
PSIとは、そして、このPSI訓練に海自P-3Cが参加する意味は
PSI海上阻止訓練「パシフィック・プロテクター17」
パシフィック・プロテクター17の概要
訓練が行われるのは、オーストラリア・ケアンズおよび周辺海空域
参加国は日本、シンガポール、アメリカ、オーストラリア、韓国、ニュージーランドなど計20カ国
海自P-3C(防衛省HPから転載)
日本からは
・机上訓練に統合幕僚監部から1名
・実動訓練にはP-3C固定翼哨戒機1機、第5航空群の人員約20名が参加
・その他自衛隊以外からも外務省、警察庁、財務省・税関、海上保安庁が職員を派遣されます。
自衛隊が参加する訓練内容としては
机上訓練:大量破壊兵器等の拡散阻止に係る調整要領等
実動訓練:P-3Cによる容疑船舶の捜索、追尾及び情報共有に係る連携要領等
過去に実施されたPSI海上阻止訓練は
2004年 日本:Team Samurai 04
~略
2007年 日本:Pacific Shield 07
~略
2014年 米国(ハワイ)Fortune Guard 14 海自からは護衛艦「いせ」が参加
2015年 ニュージーランド
2016年 シンガポール
で開催されています。
PSI海上阻止訓練とは
PSI(Proliferation Security Initiative)とは大量破壊兵器等の拡散防止のための活動
大量破壊兵器・ミサイル及びそれらの関連物資の移転及び輸送を阻止することを目的
海上阻止訓練のほかに航空阻止訓練もあります。
きっかけは2003年、米国のブッシュ大統領が、訪問先のポーランドで「拡散に対する安全保障構想(PSI)」を発表し、日本を含む10カ国に参加を呼びかけたのがはじまり。
我が国は第1回の訓練から参加しています。
国際社会の平和と安定に対する脅威である大量破壊兵器・ミサイル及びそれらの関連物資の拡散を阻止するために、国際法・各国国内法の範囲内で、参加国が共同してとりうる措置を検討しようとの提案でした。
つまり、軍事力の行使や強制力を伴うものではなく、原則として各国の国内法や国際法に基づいて大量破壊兵器やミサイルなどの輸送(輸出入)を監視しようというものです。
特定の国家を想定したものではないという事になっていますが、PSIが開始された段階では北朝鮮、イランの保有している大量破壊兵器や、ミサイルなどを念頭に置かれたものでした。
従来は各国がそれぞれ独自で行ってきた活動を自国の領域を越える範囲で他国と連携しながら大量破壊兵器などの拡散を阻止するための行動を行うもので、各国は国内の各機関との連携も重視して活動します。
設立当初の参加国は日、英、伊、蘭、豪、仏、独、スペイン、ポーランド、ポルトガルの10カ国
PSI海上阻止を北朝鮮に実際に実施するのか
9月3日の北朝鮮の核実験(水爆実験ともいわれている)に対する制裁について、国連の安全保障理事会で検討されていますが
今回の制裁項目の案には
・北朝鮮への石油禁輸
・金正恩氏の海外資産の凍結
・北朝鮮の繊維製品や労働者の受け入れ禁止
などのほかに
「全ての加盟国に対し、公海において制裁委員会が指定した貨物船を阻止し、調査する権限を与える」
という項目があります。
今回オーストラリアで行われているPSI海上阻止訓練は、定例の毎年行われている訓練の一環ですが
国連安全保障理事会で、公海での臨検が許可されれば、まさしく、このPSI海上阻止訓練の現実版が実際に日本海などで行われることになります。
イラク亡き後?残る北朝鮮へのまさしく海上阻止行動となり
そうなれば日米韓の艦船や航空機がメインとなって実施することが予想され
北朝鮮の核・ミサイル開発をめぐる動きはいっそうの緊張が高まるものと思われます。
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