北朝鮮の動きが2019年の年末に向けて怪しくなっています。
金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が「今年末までは忍耐心を持って米国の勇断を待つ」と警告
さらに12月に入って2度にわたる弾道ミサイルのエンジン燃焼試験
米国のトランプ大統領も金正恩のことを再び、ロケットマンと呼び始め、軍事力の行使もちらつかせるなど、北朝鮮状勢に何かありそうな兆候が出始めています。
年末から年始にかけて、北朝鮮はどのような動きをするのでしょう
弾道ミサイルの発射はあるのでしょうか。
北朝鮮をめぐる年末に向けての動きまとめ
金正恩が年末までの交渉の進展を警告
金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は11月12日に国会に当たる最高人民会議で施政演説を行い
・2月末にハノイで物別れに終わった米朝首脳再会談をめぐって米国が一方的な要求をしたと非難し、「今年末までは忍耐心を持って米国の勇断を待つ」と警告
トランプ大統領は金正恩を再びロケットマンと表現
トランプ大統領は12月3日、訪問先のロンドンで記者団から北朝鮮が核開発を続けている問題を問われ、「私は正恩氏を信頼している」と述べるとともに「正恩氏はロケットを発射するのが間違いなく好きだ。だから私は『ロケットマン』と呼んでいるのだ」と言及
また、トランプ大統領は、状況によっては軍事力の発動を躊躇しないとも発言しています。
年末に北朝鮮は中央委員会総会を開くと報道
北朝鮮の朝鮮中央通信は12月4日、朝鮮労働党が12月下旬に中央委員会総会を開き、内外の情勢変化に即して「重大な問題」を討議、決定すると報じています。
金正恩が白頭山に登る
12月4日、金正恩は朝鮮人民軍の朴正天(パク・チョンチョン)総参謀長ら軍幹部を伴い、中朝国境にある白頭山(ペク・トゥサン)の革命戦跡を回った。この地は「革命の聖地」とされ、これまでも金正恩が重大な決断を下す際に度々訪れてきたとされます。
北朝鮮は2回に渡り重大実験に成功と発表
北朝鮮は12月7日、13日の2回、重大な実験が行われ成功したと発表
実験はいずれも、東倉里の「西海衛星発射場」で行われ、弾道ミサイルのエンジン燃焼実験とみられています。
中露が北朝鮮への制裁緩和を提案
中国とロシアは12月16日、北朝鮮に対する制裁を一部停止するよう求める決議案を国連安全保障理事会に提出ました。
米国務省のビーガン北朝鮮担当特別代表が韓国と日本を訪問
ビーガン北朝鮮担当特別代表が15~19日の日程で日本と韓国を歴訪、北朝鮮と何らかの交渉が行われるのではないかとの観測もあったが、何ら動きは見られず
さらに、米国務省は17日、ビーガン北朝鮮担当特別代表が19~20日に中国の北京を訪問すると発表
「中国政府当局者と北朝鮮問題に関する国際的な結束維持の必要性について協議する」としています。
北朝鮮をめぐる動きの分析
自ら年末を期限と区切ってきた北朝鮮は経済的に追い詰められている?
北朝鮮は自ら年末までを期限として区切り、米国に何らかの対応を迫っています。
常識的に考えれば、米国側に動きがなければ北朝鮮としてはこれ幸いと、核弾頭や、弾道ミサイルの開発を進展させれば良いはずです。
それなのに「年末」という期限を切ったのは、おそらく北朝鮮側に年内に何とかしたいという事情があったのでしょう
事情?・・
考えつくのは
国連の制裁が効いていて、国内経済が行き詰まっているからなのでしょうが、食糧難や、国民経済が壊滅的な状態だからといって、何とかしなければならないというような考えを持つ金正恩ではないでしょう。
何百万人が餓死するよりも、自分の支配体制を安泰にすることを優先する人物が、国民のために米国との緊張状態を高め自分の支配体制が脅かされるようなことはまずしないはずです。
となれば考えられるのは
・金正恩の手持ちの資金が枯渇して、上層部の生活に支障が出るほど困窮している
・軍の保有するガソリンなどの燃料の保有量が年末までに、危機的レベルまで低下し、軍事活動が困難になる。
などの状況です。
うがった見方をすれば、突然、中露が国連に制裁緩和の提案を出してきたというのも、北朝鮮がかなり危機的な状態になっているのを知っていて、暴発や崩壊を防ぐ為に制裁を緩和することを、この時期に提案してきたとも考えられます。
米国のビーガン北朝鮮担当特別代表が日本訪問の後突然、中国訪問を決めたのも、その辺りの状況確認や中国との意思疎通、あるいは、考えすぎかもしれませんが、不測の事態が発生した場合の根回しを行いに中国に向かったのかもしれません
北朝鮮は年末または年始に何らかの挑発行動を行う可能性が高い
北朝鮮は米国に対して、わざわざ年末を期限として宣言してきている上に、金正恩が白頭山に登ったこと(重大な意思決定の前に行われると考えられる)
また、年末には中央委員会総会を開き、内外の情勢変化に即して「重大な問題」を討議、決定すると報じている事などから考えて何らかの挑発行動に出ることは間違いないと考えられます。
その際に何をするのか
短距離の弾道ミサイル発射については、これまでに何度も行っていますし、トランプ大統領も短距離のものは問題にしない姿勢をはっきり示していますから、それは無い
とすれば、中、長距離の弾道ミサイルの発射、核実験、あるいはその両方を行うことが考えられます。
さらに挑発の度合いを高めるために、日本やグアムなどの近海に弾着させる。
もしかするとロフテッド軌道で、実際の射程は米国に届く事を顕示することや、場合によっては実際に長距離を飛ばし、米国西海岸付近に着弾させるなんてことをやるのかもしれません。
そしてあわせて核実験も再開するのかもしれません。
北朝鮮は相当の覚悟を持って、かなりきわどい挑発行動を取ることが見込まれる
前述の通り、北朝鮮が自ら期限を切ってきたのは、国連による制裁がかなり効いてきていて、金正恩の支配体制を脅かす状況にまでなってきているのでしょう。
そして、金正恩は白頭山に登って重大な決意をしたことが見て取れますから、相当な覚悟を持って、かなりきわどい挑発行動を行うことが見込まれます。
この判断の中にはトランプ大統領は軍事行動には踏み込めないだろうという読みもあると思います。
もちろん何の保証もありませんから、白頭山まで登って決意を固めたたのでしょうが、トランプ大統領はこれまでも、シリアやイランで軍事行動をためらってきた・・・
大方の見方としてはビジネスマンであるトランプ大統領はお金のかかる軍事行動を嫌ったと考えているようですが、でも、実際はそうではなく、トランプさんは意外と、人の命が失われるのを良しとしない考えを持っているように感じられます。
北朝鮮もトランプさんの性格分析をした結果、軍事行動はよほどのことがなければ決断できないであろうと判断しているはずです。
おそらく金正恩としては
「臆病なトランプは何も出来ない、腹の座ったオレがガツンとやればやツは折れてくる」
などと虚勢を張っているのかもしれません
まとめ
北朝鮮をめぐる情勢を分析すると、年末または年始にかけて北朝鮮が米国に対して挑発行動に出る可能性が高まっています。
挑発行動として考えられるのは、中長距離弾道ミサイルの発射や核実験など
北朝鮮はかなり追い詰められており、仮に米国が挑発にすぐには乗らなかったとしても、更にエスカレートした挑発行動を次々と起こすことが予想され、行きすぎた挑発行動が、米国の軍事行動につながる状況もあり得るのでしょう。
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