北朝鮮の核・ミサイル開発がかなり煮詰まってきています。
火星15号のロフテッド発射(2017.11.29)が行われたことで、北朝鮮のミサイルが、性能的には米本土全域を射程に収めたことは、ほぼ確実で
今後は、核弾頭の信頼性や、実戦配備に向けたICBMの試験発射や核実験が視野に入ってきています。
米CIAの情報と思われるリーク記事では、実戦配備までの余裕はあと3ヶ月(1017.12現在)しかないという情報もあり
米国が、北朝鮮に対して先制攻撃が行われるのか行われないのか、連日テレビの放送を賑わせています。
はたして、米国の北朝鮮先制攻撃はあるのか、あるとすればその時期はいつになるのでしょう。そして始まり方は?
米国の北朝鮮先制攻撃はあるのか
未来の出来事に関しては当然神のみぞ知る所ではありますが
論理的に考えれば近いうちに米国による北朝鮮攻撃はあり得ると考えるのが合理的です。
その理由は
・北朝鮮は今のところ、核弾道ミサイル開発を断固として継続する姿勢を続けていること
・米国は、北朝鮮が米国を攻撃出来る核ミサイルを保有することを絶対容認しない
という、両国の姿勢から、交渉による妥協の余地は全く無いと考えられるからです。
北朝鮮が核弾道ミサイル開発をやめる可能性はほとんど無い
現在北朝鮮は、世界中からの経済制裁に耐えながら、乏しい資材や予算を投じて核弾道ミサイルの開発に邁進しています。
それが完成間際の段階になって、米国などの圧力に屈服したとなれば、金正恩の権威は失墜し、権力の座が危うくなってしまいます。
北朝鮮はある意味、他の全てを犠牲にして金正恩独裁体制を維持し核・弾道ミサイル開発を続けている訳ですから、その権威が失墜すれば、いつ金正恩が失脚してもおかしくなくなります。
また、北朝鮮はこれまで米国を核攻撃出来る能力を獲得した上で、米国と対等な立場で交渉のテーブルに着こうとしていたのですから、その戦略も全てひっくり返ってしまうことになります。
金正恩が、国際情勢が厳しいからといって、米国の軍門に降るということはメンツの面から考えてもあり得ないと考えます。
米国は北朝鮮の核保有を認めない
米国は北朝鮮の核保有を絶対認めないでしょう
識者の中には、米国に届かない状態(ICBMの開発だけを断念させる)なら、米国は妥協するのではないかと主張する人もいますが
北朝鮮が核を保有したならばどうなるのか
すぐ近くに、いつ核ミサイルを脅しに(あるいは実際に)使うかもしれない独裁国家があれば、
・日本、韓国、台湾(台湾は中国の核の脅威下にもある)が核兵器保有の誘惑に駆られてもおかしくはなくなる。
・弾道ミサイル開発に協力してきたイランやパキスタンに、核弾道ミサイルの情報が渡ることはほぼ確実
・経済的に困っている北朝鮮が、中東や場合によってはアフリカ諸国、中南米諸国などに核兵器や、その情報を売り渡さないという保証は無い
となれば世界中の国が核兵器を保有したり、あるいは地域の紛争に核兵器が使われるなどという核カオスの世界が広がる可能性まで出てきます。
そうなれば米国は核保有国としての絶対的な優位性が揺らぐばかりでなく、世界中が核戦争に怯える人類絶滅の危機すら覚悟することになります。
そういうことを米国が放置するかといえば、その可能性は低いと言えます。
対話、対話っていうけど・・・
よくテレビのコメンテーターが、朝鮮半島で戦争が起これば日本にも大被害がおきるから絶対、対話によって解決すべきだと主張しますが
そもそも
そのコメンテーター自ら
・北朝鮮は核開発を諦める可能性はほとんど無い
・米国は、北朝鮮が米国を攻撃できる核兵器(ICBM)を保有することは絶対許さないだろう
・米国が妥協して、北朝鮮の核保有を認めることは日本にとって許容出来ない
ということには異論は無いはずなのに、最後には「対話で解決」と必ず結論を結ぶのは論理的矛盾としか言えないでしょう。
大どんでん返しが起きないとは言えませんが、どう考えてもこのまま行けば近いうちに米国の北朝鮮先制攻撃が行われるしか、この矛盾を解決する手段は無いように思われます。
北朝鮮からの先制攻撃は可能性は極めて低い
よほど米国の軍事的圧力が高まって、もう戦争しか無いとなれば、北朝鮮から仕掛ける可能性はありますが
何も無い状態で、北朝鮮が先制攻撃を仕掛けてくる可能性はまずありません
通常戦力では、北朝鮮軍には旧式の兵器しかなく、まともに戦って勝てる可能性は全く無く
あるいは、核兵器による先制攻撃はすなわち北朝鮮の消滅に繋がることになりますから、これも考えられません
北朝鮮が核兵器を使えば米軍も核兵器を使うか、使わないにしても通常兵力でも充分、北朝鮮を壊滅させるだけの戦力を米軍は持っています。
米国の北朝鮮先制攻撃があるとすればいつか
CIAの報告?によれば来年2月か3月には、北朝鮮のICBMは完成するので、それまでにという考え方もありますが、現状を見るに、もうちょっと先のような気もします。
ものが完成しても、実際に実戦配備が開始されるまでにはタイムラグがあり、米国にとってタイムリミットは2018年夏頃で、まだ時間的に余裕?があると思います。
来年春までの主な行事などを見てみると
・平昌オリンピック 2.9~2.25
・平昌パラリンピック 3.9~3.18
・金正日誕生日 2.16
・金日成誕生日 4.15
・北朝鮮健軍節(朝鮮人民軍創建記念日) 4.25
米韓合同軍事演習
2月初旬~4月末
キーリゾルブ(指揮所演習)(2017は3.14~3.24)
フォール・イーグル(実動訓練)(2017は3.1~4.30)
注:2018年はオリンピックと重なることから後ろ倒しにすることが検討されている。
これらのイベントを考えるとさすがにオリンピックが行われている3月下旬頃までの米軍による先制攻撃は可能性が低いと考えられます。
となれば、オリンピック(パラリンピック)も終わり、世界から集まった人々も帰国し米韓合同軍事演習が行われている4月頃が、可能性が高くなるでしょう。
開戦のきっかけは?
さすがに米国といえども、何も無い状態でいきなり先制攻撃をするというのも無理がありますから、何らかのきっかけが必要なはずです。
3月までのオリンピック(パラリンピック)に対しての何らかの北によるリアクション
また4月は金日成の誕生日や朝鮮人民軍創建記念日がありますから、ミサイルの発射や核実験なども考えられます。
あるいは米韓合同軍事演習が行われていますから、かなりきわどい挑発行為的な行動
・休戦ライン付近への兵力の集中
・航空機による休戦ラインなどへの急接近や、模擬攻撃運動など
これらに対して北朝鮮軍の何らかの対応を起こした場合にこれを口実にするということも考えられます。
因みに新月(月が出ていないので暗闇、レーダーにも映らないステルス機などはより有利になる)は
3月18日
4月16日
となっています。
米軍の北朝鮮先制攻撃はどのような形で行われるのか
突発的に始まることは無い
よく、TVなどでは突発的な衝突が怖いというような意見をいう人がいますが、突発的に始まる可能性は低いでしょう
まず北朝鮮としては、戦争になってしまえば、米軍に一方的にたたかれることは分かっていますから、突発的な事件が起こっても北朝鮮側から大規模な攻撃が始まるということは考えにくいです。
全面的な攻撃が開始されるなら米軍側からとなります。
とすれば、米軍としても準備が整わないうちに戦争が始まってしまっては困ったことになってしまいますから
準備万端、攻撃態勢が整ってからということになります。
突然戦争が始まるとなぜ米軍は困るのか
どのような状態で始まったとしても戦闘自体は米軍の圧倒的有利な状況になるはずです。
ただし、これまで米国が北朝鮮に手を出せなかったのは韓国や日本に対する報復攻撃が考えられたからです。
数千門の大砲による、ソウル砲撃や、日本や韓国に対する弾道ミサイル攻撃
これらをほぼ完璧に封止しなければ、米軍にとって北朝鮮を先制攻撃する意味がありません
となれば、米軍としては開戦劈頭、準備万端、圧倒的な戦力で、北朝鮮の砲兵陣地や弾道ミサイル基地を徹底的にたたく必要があり
戦争が始まってから、攻撃態勢を整えていれば、北朝鮮軍に対する米軍の本格的な反撃が始まるまでに日本や韓国(民間人)に甚大な被害が出てしまいます。
ですから米軍としては全力を一気に発揮出来る態勢にならなければ、戦闘が始まってもらっては困るはずです。
開戦前には米空母が勢揃いする
米軍としては、開戦時には万全の態勢を整える必要があります。
そして、1番キーになるのが、航空機による爆撃です。
B-1やB-2、B-52爆撃機などの大型爆撃機などはグアムからくるのはやむを得ないとしても
日本には三沢、厚木、岩国、嘉手納などの基地がありますが
距離的に遠いですから、直接の戦闘に使うには、かなり使い勝手が悪いはずです。
所が韓国にある米空軍基地は烏山空軍基地と群山空軍基地の2箇所しかありません
主な軍事施設は大型爆撃機で爆撃するとしても
近接戦闘や、陸上部隊の支援、あるいは地下トンネルから引っ張り出してきた弾道ミサイルなどは戦闘爆撃機によって行う必要がありますが、たった2箇所では全く足りません
しかも、弾道ミサイルには核弾頭が搭載されている可能性がありますから、しらみつぶしに発見次第破壊する必要があり
北朝鮮全土で人工衛星などからの情報により、いつでも即座に攻撃出来るように、ほぼ常時、上空に戦闘爆撃機が待機しているような状態で無いと危険です。
となると、どうしても空母の出番になります。
空母なら、都合の良い位置に配備出来ます。しかも集中運用が可能です。
仮に、北朝鮮を東西に分けて日本海側と黄海側に各3隻ずつ配備すると
各空母に4個飛行隊(各約12機)×3隻=12飛行隊
各ソーティー(飛行隊12機)4時間飛行、片道1時間、在空2時間とすると12飛行隊で24時間、北朝鮮上空で常時滞在が可能になります。
各飛行隊が1日に1回の出撃ですから、長期間の連続作戦も可能です。
湾岸戦争やイラク戦争の時にも米空母は6隻を集中しています。
米空母は今どこ?
12月中旬現在、米空母の所在はネット情報などによれば
ロナルド・レーガン:横須賀
セオドア/ルーズベルト:ペルシャ湾
その他は全て米本土に所在
在米の空母8隻の内2隻は定期整備中なので稼働艦は6隻
ロナルド・レーガンを含めるとMAX7隻を朝鮮半島周辺に集結可能(多分)
米空母が米本土から朝鮮半島に来るのにどのくらいかかるか
米西海岸(太平洋艦隊)から朝鮮海域まで約1万キロ(5400海里)ですから30ktで突っ走ってくれば約180時間(約1週間ちょっと)でやってこれるという人がいるのですが
護衛の艦艇は通常動力艦ですから巡航で出せるのは平均でせいぜい15kt程度(約15日)
これも、現実を無視した机上プランで、途中での補給や訓練、対潜警戒などを考慮すると
1ヶ月くらいはかかります。
米東海岸(大西洋艦隊)であれば更に遠距離になりますから、朝鮮半島海域に進出するだけでも1~1.5ヶ月はかかると考えられます。
しかも到着して即攻撃というのも考えにくいですから、4月16日(新月)をDデイとすると2月初旬~下旬、ないしは遅くとも3月上旬には米本土を出港することになります。
逆にいえば3月に入っても米空母に動きが無ければ、当面の北朝鮮への攻撃は無いかもしれません。
なぜ演習の時期に戦いが始まるのか
攻撃は米軍の側から行われます(北朝鮮が自ら戦争を始めれば自滅が目に見えている)
なぜ演習の時期に合わせて攻撃が行われるのか
万全の態勢を整える必要がある
攻撃する際は前述の通り、万全の態勢を固めてから行う必要があります。
恒例の演習の時期であれば、兵力を集めても不思議に思われません
逆に何も無い時期に突然兵力を集中すれば不審に思われ、攻撃意図を察知されてしまいます。
態勢が整っている
通常、大演習が行われる時期に合わせて
艦艇や航空機、戦車などの整備が計画的に行われて、稼働率が最高になるようになっているはずです。
また人事異動も、大演習が終わった直後に大幅に行われ、翌年大演習が行われる時期には訓練により技量も最高潮に達するように調整されています。
米軍にそのような慣習が無かったとしても、昨年からの緊張状態から、ある程度予想される時期に合わせて様々な訓練が行われているはずです。
昨今の米軍の事故などが多発しているのも、開戦に備えてかなり高度な訓練を継続している可能性もあります。
また、演習に備えて様々な物資や燃料、弾薬の集積も行われているはずです。
これらのことを考えると、米韓合同軍事演習の時期に開戦するということは理にかなっているだけではなく
4月は北朝鮮がICBMを実戦配備し始める直前にあたるという事も言えると思います。
まとめ
このままの情勢がそのまま推移した場合、合理的に考えれば、米国の北朝鮮への先制攻撃が行われるはずです。
その時期としては、パラリンピックが終わって恒例の演習が始まっている4月と考えるのが順当です。
おそらく米国は北朝鮮を何らかの方法で挑発して、最初のきっかけを作らせるような行動を取るものと考えられます。
追伸:その後の経緯は、米朝関係は膠着状態のまま進展も無く2020年まで、大きな事件も発生せずという結果になりました。
北朝鮮の弾道ミサイル発射実験がなぜ早朝に多く行われるのでしょう
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