トランプ大統領は北朝鮮を攻撃しないの?米軍が軍事攻撃するとしたらどのように

北朝鮮は盛んに弾道ミサイルの発射訓練を繰り返しています。

2017年7月28日には2回目のICBMの発射実験を行い、この実験結果から、北朝鮮の保有するICBMは米本土の大部分を射程に収めているものと見積もられています。

北朝鮮の核・ミサイル開発に対しては、かねてから米国からは強い警告などが発せられており、米国の北朝鮮への軍事攻撃が取りざたされています。

4月の時には空母を日本海に入れて、強い警告を行いましたが、結局軍事行動は発動されず

その後は大きな動きも無いことから、結局米国は北朝鮮を攻撃しない(出来ない)のではないかとの憶測も出ています。

その後2018.6.12には米朝首脳会談が行われ、当面の戦争の危機は回避されたように思われます。

とはいうものの、北朝鮮は未だ核兵器を廃棄する姿勢を見せておらず、今後予断の許さない状況が続きそうです。

果たして米国はもう北朝鮮を攻撃しないのでしょうか、それとも攻撃するとしたらどのようなやり方で、時期はいつになるのでしょうか

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空爆

米軍が北朝鮮を攻撃するとしたらどのような態勢になるのか

米国が北朝鮮を容易に攻撃出来ない理由

米軍と北朝鮮軍の軍事力や兵器の性能を比べた場合、圧倒的に米軍の方が優れており、北朝鮮軍や弾道ミサイル、核開発施設などを破壊するのは、極めて容易だと考えられます。

ところが米国の度重なる警告にもかかわらず、北朝鮮は弾道ミサイルの発射実験をやめようとはせず、ミサイル発射を継続しています。

2018年に入って北朝鮮は弾道ミサイルの発射実験は行ってはいないというものの、核兵器の開発を中断しているようには見えません

米国が、このミサイル発射や、核開発に対して軍事攻撃のオプションも排除していないと言い続けているのにもかかわらずなぜ北朝鮮を攻撃しないのかという理由は

米軍が北朝鮮に軍事攻撃を行えば、すかさず北朝鮮軍による韓国や日本への報復攻撃が予測されるからです。

休戦ライン付近には数千門の砲兵が、ソウルなどを射程距離内に納めており

また韓国を標的とした短距離弾道ミサイルが数百発

あるいは日本を標的にしているノドンミサイルやスカッドERが400発ほど存在し

これらのほとんどは地下基地などに隠されていると考えられています。

米軍による北朝鮮攻撃が始まれば、これらの砲兵や弾道ミサイルにより、韓国や日本の都市などに甚大な被害が発生することになります。

ですから、米国が北朝鮮に対して軍事攻撃を仕掛けるためには、これらの砲兵陣地や弾道ミサイルをいかに使わせないかあるいは除去するかを考える必要があります。

北朝鮮から日本や韓国に発射される弾道ミサイル

米軍の北朝鮮攻撃はどのような形で行われるのか

北朝鮮軍の韓国や日本への報復攻撃を阻止するためにはいかに迅速に先制攻撃で、砲兵陣地や弾道ミサイル基地を破壊するかがポイントになってきます。

そこで、米軍の攻撃の状況について予測してみると

ステルス機による指揮通信中枢、防空施設への空爆

米軍の北朝鮮攻撃はイラク侵攻の時などと同じように、まずはステルス機により、指揮通信の中枢や防空施設への攻撃で、北朝鮮軍の組織的な戦闘を困難にし、航空攻撃などに対する反撃が出来ないようにすることでしょう

・軍の司令部、政治中枢

・通信施設

・レーダーサイト

・対空ミサイル基地

・空軍基地、施設

これらが破壊されることで

・部隊の指揮が困難になり、組織的な行動が出来なくなる。

・引き続く米軍の航空攻撃に対して有効な反撃が出来なくなる。

ということが期待出来ます。

空爆に向かう戦闘爆撃機

北朝鮮軍施設などへの空爆

北朝鮮軍の指揮系統を麻痺させ、対空防御が困難な状況にした上で、在来型の爆撃機や、戦闘爆撃機により、北朝鮮軍に対する攻撃を行います

・砲兵陣地

・弾道ミサイル基地

・北朝鮮軍陣地(陸)

・海軍基地(水上艦船、潜水艦、陸上施設)

限定的な陸上侵攻

米軍としては兵士の被害をできるだけ減らしたいですから、陸上攻撃は避けたいところですが、休戦ライン周辺に数千門の大砲があり、その多くが地下基地に隠されることを考えると、限定的な陸上侵攻はせざるを得ないと思います。

ソウルから近い休戦ライン付近を中心に数十キロ程度、北朝鮮側に侵攻して、砲兵陣地などを制圧する作戦を行う可能性があります。

北朝鮮のロケット砲部隊

政治中枢、核・ミサイル開発施設への空爆

北朝鮮側の軍事施設を破壊し、韓国や日本の安全がおおむね確保されたところで、あるいは同時進行的に、本命の政治中枢や、核・ミサイル開発施設への空爆が行われます。

長距離砲や弾道ミサイルの発射に備えての上空警戒

先制攻撃により、北朝鮮軍の反撃能力の大部分は破壊されるでしょうが、長距離砲や弾道ミサイルは地下深く隠されており

全てを一気に破壊するのは困難です。

おそらく北朝鮮軍はすきを突いて、弾道ミサイルなどを地上に引っ張り出し、発射しようとするはずです。

これを防ぐためには、北朝鮮上空を常時、偵察機や無人偵察機で哨戒させ、弾道ミサイルなどを発見次第戦闘爆撃機などにより、攻撃、破壊する必要があります。

おそらく、隠してあるミサイルなどの大部分を破壊するためには、少なくとも2、3週間程度は必要になるでしょう。

北朝鮮の弾道ミサイルの発射

4月の段階で米軍は北朝鮮を攻撃出来る態勢では無かった

開戦劈頭の米軍の空爆により、北朝鮮軍の大部分は壊滅してしまうでしょうが、最大のネックは地下に隠されている、長距離砲や弾道ミサイルを発見次第、あるいは発射のために逐次地上に引っ張り出してきたところを空爆して破壊する必要があります。

このためには2,3週間は24時間態勢で上空で警戒に当たる必要がありますが、防空能力をほぼ壊滅させているとは言え、大型爆撃機を常時、敵地上空で待機させておくことは危険ですし、機数も足りません

また、機敏な行動も困難です。

さらに在韓米空軍基地は3箇所しかなく、大型爆撃機の護衛や、地上戦の支援などで手一杯になるはずです。

そこで必要になって来るのが空母打撃軍です。

空母1隻は中堅国1国の航空戦力に匹敵するといわれ、2017年4月の時には日本海に2隻の空母を入れているので、いつ攻撃が始まってもおかしくないと言われました。

ですが、はっきり言って、空母2隻では24時間、常時戦闘爆撃機を北朝鮮上空で哨戒させることは不可能です。

北朝鮮の韓国や日本への反撃を封止するためには、常時戦闘爆撃機を北朝鮮上空で待機させる必要があります。

空爆を行う戦闘爆撃機

常時北朝鮮上空に戦闘爆撃機を在空させるためには何隻の空母が必要か

米空母1隻には4個飛行隊(FA-18戦闘爆撃機各12機程度)が搭載されています。

1回の出撃で4時間飛行
(多少の余裕を見て往復に2時間、北朝鮮上空の哨戒2時間)

として、4個飛行隊で哨戒出来る時間は8時間です。

空母1隻に搭載されている飛行隊(4個飛行隊)で24時間の哨戒を継続しようとすれば

4時間の飛行を終えて帰って来た戦闘機パイロットは、その4時間後には出撃しなければなりません。

飛行後の報告や、出撃前の準備、ブリーフィングを含めると休息時間は2時間もなく、睡眠をとる時間なども考えると、24時間オペレーションを2、3週間続けることは不可能です。

空母2隻で各飛行隊の飛行間隔は16時間になり

休息時間は12時間となりますが、命をかけている戦闘飛行を4時間行った後の休息時間としては短かすぎます。

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米空母

空母3隻出あれば飛行間隔は24時間となり

ほぼ1日に1回の出撃となり、妥当な線となります。

あるいは空母などにトラブルがあった場合などへの対応も比較的容易になります。

もう一つ考慮するのは、北朝鮮上空を哨戒しているのが1個飛行隊で間に合うのかという問題

空母が日本海側(半島の東側)にいるのに黄海側(半島の西側)の地域の哨戒に間に合うのかということを考えると

朝鮮半島の東西それぞれ3隻、合計6隻程度の空母は最低限必要ということになります。

因みに、イラクなどの場合でも、常時在空の必要性は北朝鮮の時よりも低かったはずですが、それでも5,6隻の空母を投入しています。

4月に動ける米空母は3隻程度しかいなかった

ということで、北朝鮮攻撃には完璧を期するためには米空母が最低6隻は必要になります。

4月の段階で米空母全10隻の状態を見てみると

CVN68(ニミッツ)     ○米本土
CVN69(アイゼンハワー)  △米本土(改修後の機能テスト中)
CVN70(カール・ヴィンソン)◎極東展開中
CVN71(ルーズベルト)   ○米本土
CVN72(リンカーン)    ×定期整備中(8月まで)
CVN73(ワシントン)    △米本土(8月から2年間かけて燃料交換予定)
CVN74(ステニス)     ×定期整備中(8月まで)
CVN75(トルーマン)    ×定期整備中(7月まで)
CVN76(ロナルド・レーガン)×定期整備中(横須賀)
CVN77(ブッシュ)     ×中東展開中

正式名省略

ということでなけなしの空母を投入しても3隻か無理をして4隻ということになり4月の段階ではとても北朝鮮攻撃が出来る態勢ではありませんでした。

米中首脳

中国に任せたのは時間稼ぎ?

4月6日~7日にかけてフロリダ州のパームビーチで米中首脳会談が行われました。

この会談で100日間は中国の対応を見守るが、中国がこの間に北朝鮮に有効な手段を講じなかった場合は、米国が単独で行動するとされました。

この会談から100日後となると7月16日が100日目となります。

7月まではトランプ大統領もツイッターなどで、不思議なほど中国を持ち上げていましたが

100日が過ぎた7月29日には北朝鮮のICBMの発射を受けてツイッターで

「中国には失望した」と述べるなど、中国に対する対応が変わってきています。

うがった見方をすれば

北朝鮮は中国のテリトリーだから、取り敢えず中国に任せてみて

結局何も出来ないのを見て

「中国が出来ないなら自分(アメリカ)がやる」
文句はないよね(軍事攻撃しても介入しないよね)
というアリバイ作りだったのかもしれません。

9月になれば9隻の空母が稼働状態になります。

米空母

米軍が北朝鮮を軍事攻撃するとしたらいつになるのか

米国が今後、本当に軍事行動に出るのか、別の道を探るのかは分かりませんが

北朝鮮は米国を攻撃出来る核弾道ミサイル(ICBM)の開発をやめる気は全く無いと考えられること
(度重なる米国や国際社会の警告にもかかわらず、全く意に介せず実験を繰り返しています)

米国は、北朝鮮が米国を直接攻撃出来る核弾道ミサイルを開発、保有することを容認する気は無く、軍事行動も辞さないと明言していることからすれば

論理的には、よほどのことがない限り軍事攻撃が行われる可能性が高いと予測せざるを得ません。

8月頭の米空母の状況

CVN68(ニミッツ)     ×中東展開中
CVN69(アイゼンハワー)  ?米本土(改修後の機能調整中)
CVN70(カール・ヴィンソン)○米本土
CVN71(ルーズベルト)   ○米本土
CVN72(リンカーン)    ○米本土
CVN73(ワシントン)    ×米本土(8月から2年間かけて燃料交換予定)
CVN74(ステニス)     ×定期整備中(8月まで)
CVN75(トルーマン)    ○米本土
CVN76(ロナルド・レーガン)○東南アジア方面展開中
CVN77(ブッシュ)     ?中東展開終了米本土帰投中

ワシントンは燃料棒交換のため2年間のドッグ入り、1隻(ニミッツ?)は中東展開しますが

ステニスの定期整備が終わればMAX8隻、少なくとも6隻は朝鮮半島に投入出来ることになります。

朝鮮半島周辺に集結した6隻の空母

米空母を北朝鮮の軍事攻撃に投入出来るようになる時期

現状、米空母のほとんどは米本土に存在します。

もし、これらの空母を北朝鮮に派遣しようとすれば

護衛の艦艇などの動きも含めて、ざっくり

太平洋艦隊所属艦:約1ヶ月
大西洋艦隊所属艦:約1ヶ月半

程度、展開にかかるものと考えられますから

9月1日に出発したとして、朝鮮半島に到達するのが10月中旬~11月頃となり

台風シーズンも終わり、秋の好天が続く空爆日和となります。

注;空爆のためには天候が良くないと実行が難しくなります。

ただし、そうなると定期整備を終わったばかりの空母が半分程ありますから、訓練不足で実戦投入ということになりリスクもあります。

北朝鮮の核開発

米軍が北朝鮮を軍事攻撃する時期はいつか

前の項で述べたとおり10月下旬には米空母の態勢が一応整います。

ただし、訓練や準備が十分でないことも予想され、この時期を見送る可能性もあります。

もちろん北朝鮮のICBMの開発が急ピッチで、早急に対応が必要な場合には、10月~11月にかけて攻撃が行われるという可能性も否定出来ません

逆に、10月の段階で北朝鮮のミサイル開発が実験段階で、実戦配備までにはまだ余裕があると考えられる場合には

来年の3月に行われる、恒例の米韓合同軍事演習の時期に合わせて、先制攻撃を行えば、北朝鮮にも米軍の意図を察知されにくくなるメリットが有ります。

またこの時期であれば平昌オリンピックも終了しており、オリンピックや観光客への影響も避けられるかもしれません。

もっとも、この時期まで先延ばしにすれば、情報漏洩や、不測の事態が発生することも考えられ、米国がこの時期まで我慢するかどうかは微妙です。

2018.8追記

米朝首脳会談で、一応の状勢としては、米国は北朝鮮への攻撃は行わず、平和的な方法で解決を目指していることとされています。

とはいうものの、現時点においても北朝鮮の核放棄への道筋はまったく見えておらず、核兵器開発も淡々と行われているようです。

このまま膠着状態が続けば、過去に2回米国が欺されたのと同じ状態になります。

となれば、自体に動きがなければ米国の中間選挙が行われる11月前後には、また新たな動きが出てくるものと思います。

それまではしばらくは様子見が続くのかも知れません。

まとめ

米国の北朝鮮への軍事攻撃を行うためには空母を6隻以上集める必要があり、米空母が定期整備を終え数が揃うのは8月以降、

さらに朝鮮半島に展開するための時間を考慮すると、物理的に米国が北朝鮮を攻撃出来るようになるのは10月中下旬以降

入念な訓練や準備、さらに平昌オリンピックへの影響を考えると来年3月の米韓合同軍事演習の時期に合わせるということも考えられます。

いずれにしろ今後の北朝鮮情勢には目が離せません。

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